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わくわく挿絵帖
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春眠暁を覚えず
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健やかな年になることを祈りつつ。


# by arihideharu | 2024-02-01 08:14 | 暮らし
刀の置き方
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  少し前、侍が刀を刀掛けに置くとき、どう置くかネットで調べる機会がありました。
 正直驚きました。諸説が飛び交い、そのどれもがもっともらしいのです。
 いつの間にやら、刀の置き方に型のようなルールが出来上がっている様子なのです。
 
 そこで、二つの時代考証家の記述を紹介したいと思います。
 一つ目は、笠間良彦・著『時代劇のウソ・ホント』(2004年)からです。
 笠間さんは先年亡くなった時代考証家で、特に武具の専門家でした。彼の説では、刀を刀掛けに置くときは柄を向かって右に置くのが正しいと言いきっています。
 理由は明らかで、いざという時に左手で鞘をつかみ、すぐに刀を抜くことが出来るからです。したがって、刀掛けの上段には長刀を置くことになります。
 つまりこれが武家の嗜みだという訳です。
 二つ目は、林美一・著『時代風俗考証事典』(1977年)です。
 林さんも周知の時代考証家で、さらに実際の映画の現場で時代考証もなされた方で、加えて浮世絵の研究者として名を馳せた方でもあります。
 彼の説では、柄を左に置く方がよろしかろうと書いています。その根拠として、古画の比較研究から柄を左に置く作例が圧倒的に多いことを挙げています。
 ただ、ドラマの時代考証をした実務家らしく、同時に状況や人によって変わることも指摘しています。当然ながら命のやり取りに身を置いている者、例えば幕末の志士、あるいは武芸者です。また、多少とも武芸の心得のある侍などもそれにあたるでしょう。彼らはきっと柄を右に刀掛けに置いたと推察出来ます。
 となると、笠間説と林説は一見相反するようですが、そうはなりません。なぜなら基本的に刀は武器ですから笠間説が正しいとしか言いようがなく、歴とした侍が打ち刀を腰に帯びるようになった戦国期から江戸時代初期までは戦時ですから、武士は常にすぐ刀が抜けるように刀は体の左に置き、刀掛けに置くときは柄を右に置いていたと考えられるからです。
 実際、画像検索を使い調べると、江戸期少し前の肖像画である黒田如水像などは刀掛けに柄を右に刀を置いていますが、息子の長政になると、左右両方の用例が認められます。そして孫の忠之の代になると柄は完全に左になっていて変遷を確かめることが出来ます。
 江戸中期以降は世の中は太平ですから、上記の戦国期のような作法では物騒なので、敵意がないことを示すためにも刀を手に持つときは右に、刀掛けに置くときは柄を左にと、これが自然な流れとなり、無礼にならない所作となっていったのでしょう。
 しかし例外があり、武家の棟梁たる将軍は誰はばかることなく、刀を持った小姓を左後ろに置き、あるいは刀掛けに刀を置くときは柄を右に置き、いつでも抜ける状態を保っていました。
 以上のことは、『時代風俗考証事典』にも書かれ、よく知られた事柄です。
 
 ところで僕が刀掛けですぐに頭に浮かんだ絵があります。それは安藤広重が描くところの『山谷 八百善』です。(江戸高名会亭尽)
 題材は料理屋で直参とおぼしき侍二人が、のんびりと富士山を眺めながら芸者と遊んでいる図ですが、中央に刀掛けが描かれ、大小二組の刀が置かれています。柄の向きは左で長刀が上に置かれています。僕は江戸の日常的刀の扱い方が非常によく表れている絵だと思います。
 そしてもう一つは画像検索で目についた絵で、それは頼山陽画像です。彼は武家の通史を著した人らしく、刀掛けに柄を右向きに置き難しい顔をして座っています。
 
 刀の置き方の結論としては江戸期以前から江戸初期までは、少し派手な拵えの刀を柄を右向きにして刀掛けに置くと、それらしく見えるであろうし、江戸中期以降は刀装金具は後藤派で、黒で統一した拵えの刀を、柄を左向きに刀掛けに置くだけで江戸時代的な感じがぷーんとします。
 また武ばったキャラクターのときは、右向きに置くのが一興かと思う次第です。
 つまり、これらのことは確固たる定まった決まりがあってのことではなく、空気と同調圧力によって江戸中期以降は刀を持つときは右手に、刀掛けに置くときは柄を左に置くことになったような気がします。

# by arihideharu | 2023-05-03 20:05 | 挿絵
疫病退散・四海太平を願う。


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# by arihideharu | 2023-01-01 20:22 | 暮らし
今年こそ日常を取り戻したいものです。
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明けましておめでとうございます。
昨年も無念ながらコロナ禍で明け暮れした一年でした。
今年こそ何とか日常を取り戻したいものです。

今年こそ日常を取り戻したいものです。_b0185193_01332593.jpg





# by arihideharu | 2022-01-01 01:48 | 暮らし
健やかな年でありますように。
健やかな年でありますように。_b0185193_19094176.jpg

昨年はコロナ禍で騒然とした年でした。
ただただ、本年が健やかな年であることを祈るばかりです。

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# by arihideharu | 2021-01-01 18:48 | 暮らし