ブログトップ | ログイン
わくわく挿絵帖
sashieari.exblog.jp
ソッソ ソクラテスもプラトンも
b0185193_22531823.jpg


 今年も受験シーズンがやって来ました。30年以上前になります。ぼくもまたその真っ只中にいました。

 地方出身のぼくは、東京近郊の親戚の家を頼り、宿としました。美大を目指していましたから、画材道具やらで荷物は膨らみます。その膨らんだ荷物の中には、数冊の文庫本も混じっていました。

 ぼくは受験の間、夜になるとそれをを引っぱり出しては読みふけりました。そして、帰郷するころには2冊の小説を読み終えました。
 
 野坂昭如・著「アメリカひじき・火垂るの墓」と深沢七郎・著「楢山節考」です。

 深沢さんは早くにお亡くなりになりましたので、読む機会がなくなりなした。しかし野坂昭如さんに関しては、その後もぼくは従順な読者であり続けました。

 ミニコミ紙から始まり週刊誌に掲載したエッセイ群は、あの独特の文体とともに異彩を放っていました。

その中で学んだ最大のことは「男は日和っていいんだ、変節していいんだ。」ということです。野坂昭如独特のレトリックであり、生き方です。

 それは戦前戦中の男たちが無謀な戦争に突入し、日和ることなく国を亡ぼしたことと関係がありました。
 
 「そう、日和っていいんだよ!」「ソッソ ソクラテスもプラトンも み〜んな悩んで 大きくなった!」とC調で歌っていた野坂さんを思い出すと、なんだか楽しくなります。

 野坂さんの八方破れな言動と颯爽とした姿が、テレビから消えたのは寂しい限りですが、時折ラジオで書たてのエッセイを聴くと、やはり野坂昭如はぼくらの輝く星だなと改めて思い直します。

b0185193_23141884.jpg

by arihideharu | 2010-01-15 23:17 | 読書 | Comments(0)
<< 春よ来い  女優、森光子のいとこの話。 >>