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わくわく挿絵帖
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もうひとつの世界(2)

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 前回、映画「アバター」にからめてエドガー・ライス・バローズの「火星シリーズ」について少し書きました。このことについてもう少し書きたいと思います。

 子供の頃はいろんな夢を見たり空想をしたりします。特に就寝前はそれがピークを迎えます。布団に入り、目をつむるとき少しドキドキし始めます。日頃している空想を夢の中にすべり込ませ、睡眠中に見る準備をするからです。

 それが「火星シリーズ」を知ってから、ぼくの場合就寝前の空想はこれ一色となります。こういう具合です。

 眠くなりかけたとき、呪文を唱えます。すると、もうひとつの世界の扉が大きくゆっくりと開きます。ぼくは彼の地、火星で目覚めるのです。そして、すっくと立ち新しい冒険を始めます。勿論、それはもうひとりのデジャー・ソリスを娶る旅でもあります。やがて冒険はぼくのオリジナル作品となっていきます。

  ぼくは少年期からかなり長い間、この就寝儀式を繰り返していました。でも、このことをほとんど誰にも話していません。というのも、恥ずかしいのもありますが、意外にこのシリーズを読んでいる人が少なかったかったせいだと思っています。あるいはぼくと同じように、本当の読者はその事実を隠していて話題にするのを嫌ったのかもしれません。
 
 高校のときぼくは美術部にいました。同学年で男子はぼくひとりだけで、あとの多数は女子でした。隣に文芸部がありました。ここは男子ばかりで、いずれも一癖ありそうなヤツばかりです。当然、彼らは何かと美術部に遊びに来ました。勿論、目当ては女子にありました。それはさておき、彼らは本を読むのが好きな者の集団ですから、読んだ本の話しを一緒に沢山しました。しかし、エドガー・ライス・バローズの「火星シリーズ」についてしゃべった記憶がありません。

 上京しぼくは多くの画学生と知り合いました。画学生は大概、小説や映画が大好きです。ところが「火星シリーズ」で話しに花が咲いた記憶がありません。これは偶然だったのでしょうか、不思議です。

 ただ言えることは「火星シリーズ」を読んだ者はもうひとつの世界へ行く回路を頭の中に埋め込まれ、ある信号が見えたり聞こえたとき、否応なくその世界へ引き込まれる定めになっていることです。ここでやっかいなのは、現実の世界へ帰れなくなる危険があることです。

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by arihideharu | 2010-02-16 15:56 | 読書 | Comments(0)
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