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わくわく挿絵帖
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二人のデッサン家
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 挿絵画家を始めてアイデアに詰まったときや風俗やものの形が分からないとき、一番開いてきた本といえば「北斎漫画」です。岩波から出ている三巻からなるこの本は30年以上前から仕事机のそばにいつも置かれています。

 この本はぼくにとって魔法の書です。本当に困ったとき開きます。そのときは開く前に柏手を二つ打って「北斎先生」と呼びかけます。それから開きます。すると、たちどころに難問を解いてくれます。

 あとひとつ、これは魔法の書というより、虎の巻というべき本です。それは最後の浮世絵師と呼ばれた月岡芳年の画集です。これもまた30年以上いつもそばに置いています。この師匠は幕末の戦絵で有名ですが、神武天皇から始まる歴史画を多く描いていて、浮世絵の範疇を超えています。また線も色も錦絵の完成期の頂点にいる絵師です。ぼくにとっては昆虫少年における図鑑のような存在です。
 
 この二人に共通するのは古今東西屈指のデッサン家だということです。ぼくは二人の線を見ているといつも神聖な気持ちになります。

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by arihideharu | 2010-09-10 16:57 | 挿絵 | Comments(1)
Commented by SABA.U1 at 2010-09-10 19:52 x
西洋の多くの画家たちが影響を受けたというのも、自然界の隅々まで写し取ってやろうという、北斎の執念に感銘したからなのでしょうね。
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