ブログトップ | ログイン
わくわく挿絵帖
sashieari.exblog.jp
少年文化
b0185193_1603049.jpg


 歴史時代小説の読み始めが「梟の城」だったことは前に書きました。その次に読んだのが「龍馬がゆく」でした。これもアパートの向かいの部屋に住んでいた四つ年上の男に借りたものです。勿論、強烈に面白く一気に読んだことを覚えています。

 すると不思議なもので、面白いと言われる時代小説の話題が耳に入ってくるようになります。「あれは最高だ」「とにかく読め。読まないとモグリだ」というような話がどこからともとなく聞こえてきます。「あれは最高だ」と言われていたものとは五味康祐の「柳生武芸帳」でした。

 当時、半ば伝説化していたこの小説との出会いが挿絵画家になったきっかけかもしれません。というのは、これ以後しばらく時代小説の中でもチャンバラ小説を選んで読むようになったぼくは「これは、どこかで読んだことがある」というストーリーが、頻繁に出て来ることに気がつくのです。その「どこか」とは子供の頃読んだ「漫画」です。そうです。子供の頃読んだ漫画のネタ元に辿り着いていたのです。

 ぼくが小学校当時の漫画の中心は新興の「少年サンデー」や「少年マガジン」以外に貸本屋があり、床から天井まで積み上げられた漫画本が子供たちの心をつかんでいました。

 その漫画本の山は、ぼくの中では二つに分かれていました。手塚治虫と白土三平です。言うまでもなく手塚治虫は現代・SFもので、白土三平は時代ものです。

 ぼくは強く白土三平に惹かれました。最初に心をつかんだのは「サスケ」でした。主人公が少年であり、その成長物語であったことが何より惹きつけられた理由です。少年時代、忍者になることが夢だったぼくは「サスケ」はいわばぼくの分身でした。 

 また、白土三平以外にもチャンバラ漫画は沢山あって、そのどれもが上手な描き手でした。40年以上前、「少年文化」の中心には「チャンバラ」が確実にあったのです。

 つまり、「柳生武芸帳」によってぼくの中にあった「チャンバラ小僧魂」が呼び覚まされたのです。

 しかしその頃、予備校仲間との話題はセザンヌや青木繁、ジャスパー・ジョーンズについてがほとんどでした。


b0185193_1604578.jpg

by arihideharu | 2010-11-12 00:37 | 読書 | Comments(0)
<< 漫画離れ 十三人の刺客 >>