毎日新聞の連載小説「四十八人目の忠臣」も150回を優に超え、いよいよ後半戦。各々が仇討ちの決意を固め、団結に向かうところまできました。
実はここまでくる間、挿絵の中で大きな間違いを一つ犯してしまいました。それは85回目、勅使を迎える場面です。絵柄の背景に徳川家の葵紋を染めた垂れ幕を配したのですが、その葵紋を逆さに描いてしまったのです。読者の指摘を受けて初めて気がつきました。嗚呼!痛恨。後の祭りです。余りにあからさまなミスで、ごめんなさいというしかありませんでした。そして、しばらく落ち込みました。
なぜ失敗したかといえば、普段ならフリーハンドで描くところを葵紋を大きく詳しく描くために手本を拡大コピーし、トレスしました。そのときコピーした紋を逆さ置いてトレスしてしまったのです。
実はこういうことがぼくの場合時々起こります。というのは、絵の中に文字や意味のある記号を書くとき、それを絵として描いてしまい、読むことを忘れてしまうのです。そういった間違いを防ぐためチェックを心掛けていたのですが、このときばかりは忘れたてしまったのです。プロとして恥ずかしい限りです。