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わくわく挿絵帖
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鼻中隔湾曲症
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 鼻の中心線がまがっていたらしく、左片側の鼻あなが中ほどでふさがり、長年の鼻づまりの原因になっていたようです。
 といって何か特別な支障があったわけではなく、ただイビキが10年ほど前から始まりだし、さらに近ごろは鼻呼吸の有効性を説くむきもあり、気になり出していました。
 そのことを今年の人間ドックのおり医師に相談すると、入院手術のはこびとなりました。期間は6日、これですっきりするなら…。期待はたかまりました。
 
 ぼくは、かねてから入院することでもあったら読もうと買ってあった、手塚治虫の『ブッタ』全巻を入院用品と一緒にバッグにつめました。マンガを読むのは30年ぶりです。
  
 朝9時からスタート。手術室で全身麻酔がほどこされます。
 暗転。声をかけられ、目がさめます。
 病室にもどされると、頭と四肢に強いだるさが残り、腕には管がつながれている病人らしい自分の姿に気がつきます。
 この間約2時間ですが、脳がいじられ、産まれてからの時間の連続性が途切れたような違和感が残っています。
 ぼくはそのとき、これらの出来事を数コマのマンガで思い浮かべている自分に気がつきました。マンガ『ブッタ』を手術直前まで読んでいた影響が出たようです。
 
 さらに数時間後、出血はありますが薬が効いて痛みはひきました。
 夕食に粥をとり、点滴の器具を引きずりながらも通常のように動けるようになりました。早速、ぼくはトイレにたちました。
 そこで思わず鏡をのぞき込みました。鼻の中に大量の詰め物をしているらしく、大きく膨らんでいます。まるで、手塚マンガに出てくる猿田博士のようです。
 この詰め物は丸3日鼻孔におさまり、ぼくの鼻呼吸を完全にとめ、酸欠状態の金魚のように口をパクパクさせますが、いっこうに十分な酸素は身体に廻らず、眠れない夜が続くことになります。

 4日目、とうとう詰め物をとる朝がきました。ぼくは処置室へむかいました。
 ドクターは細い引っかき棒を手にし、ぼくの鼻に襲いかかります。ひと穴から、2本の粘液と血をたっぷり吸ったスポンジが生きた泥鰌のように激痛とともにヌルッと出てきました。おそらく、人間の煩悩とか悪夢を形状化したらこんな形と色艶をしているに違いありません。

 一時間後、鼻の入り口に綿球はつめたままですが、痛みと酸欠はかなり緩和されスッキリしました。
 当然、巨大になった鼻の腫れはひきました。しかし、まだ団子っ鼻、手塚治虫の鼻にそっくりです。
 すると、思わず笑いが込みあげました。出来ればぼくの残こりの半生、手塚治虫にあやかりたいと思ったからです。
by arihideharu | 2013-06-30 19:07 | 暮らし | Comments(0)
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