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わくわく挿絵帖
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家紋
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 江戸の切絵図を初めて見たとき驚いたことがあります。武家地に松平姓が実に多いことです。江戸市中に目につくものの代表を「伊勢屋稲荷に犬の糞」といい習わしたようですが、武家地の松平さんもそれに近いものがあります。
 薩摩の島津家も仙台の伊達家も切絵図を見ると「松平薩摩守」と「松平陸奥守」です。
 調べるとほとんどの有力大名は徳川より賜姓されたされた「松平」を看板にかかげていたのが分かります。また旗本衆も徳川のご時勢ですから、一門ゆかりの松平姓が幅をきかせることは当然の成り行きです。
 大げさにいえば、松の廊下で「松平どの」と声をかけたら、だれもがいっせいに振り返る勢いです。
 
 そこで、もう一度切絵図をみると、大名家の上屋敷には必ず名前と一緒に家紋がならんでいるのに気がつきます。この家紋から江戸人は文字を読むように情報を得て、この屋敷がどこの殿様のものか理解したのでしょう。
 
 家紋はこの時代、紋付きの衣装に限らず家具調度、建物といたるところについていました。
 例えば、初めてのお使いで薬屋の小僧さんが歯痛薬を勤番侍が住む大名家の長屋へ届けるとします。途中はたと前後左右、大名屋敷の大きな塀に囲まれ道に迷ったことに気づきます。
 そこでおそらく勘のイイ小僧さんなら、塀の瓦で家紋を確かめ、屋敷の大きさを目測し石高を推量し、目指す大名家に当りをつけたと思われます。
 というのも、商家の丁稚などは字を覚えるより先に、屋号の入った絵看板や家紋を覚えたと想像できるからです。
by arihideharu | 2013-11-19 15:48 | 挿絵 | Comments(0)
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