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わくわく挿絵帖
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映画の中の居酒屋
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(前回、眠狂四郎/勝負の続き) 
 入って飲んでみたいと思わせる映画の中の居酒屋が、もうひとつあります。
 ご存じ「浪人街」(マキノ雅弘監督・1957年)の中です。
 
 それは大きな門前町内にあり、時代設定は江戸前期、慶安の頃と思われます。
 盛り場は戦国の風を未だ残した浪人たちと、おごり始めた幕臣の小倅たちのたまり場と化し、両派の小競り合いが絶えない雑多な世界が広がっています。
 
 店の作りが大いに変わっています。店内の床が石段になっており、奥に向かって、ゆるやかな下り坂になっているのです。
 町場の社寺が窪地や小山にあることを思えば、この居酒屋のセットは絶妙というしかありません。
 そして、店内の壁3面は棚で覆われ、下りものと分かる酒樽がずらりと並べられています。
 小金を握った浪人たちは堀部安衛兵のように升酒をあおり、丸橋忠弥のごとく酒におぼれ、店奥の谷底でトグロを巻きます。
 ここはおそらく、お酒の神様が棲む処なのでしょう。
 酔いつぶれた客の夢枕には観音様が立つらしく、恐ろしい顔のウワバミも実に幸せそうな笑みを浮かべ眠るのです。
by arihideharu | 2016-01-08 19:17 | 映画・演劇 | Comments(0)
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