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わくわく挿絵帖
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女優を美しく見せるトム・クルーズ作品
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 女優を美しく見せるといえば、いつも感心するのはトム・クルーズ作品にでる女優が、どれもはずれなく魅力的なことです。
 しかも同じ女優を繰り返し使うことなく、作品ごとに変えてこの結果です。実に驚くべきことだと思っています。

 ぼくがトム・クルーズ作品に興味を持ち始めたのは、ご多分に漏れず『ミッション・インポッシブル』(1996年)『マイノリティー・リポート』(2002年)以降です。
 元来ハードボイルドとSFが大好きなぼくにとって、彼が交互にこのジャンルを作り出し、秀作を連発していることは近年の慶事です。

 特にお気に入りは『オブリビオン』(2013年)『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(2014年)『アウトロー』(2013年)で、ここに登場する女優は一段ときれいに撮れているというのがぼくの感想です。

 そして特筆すべきは『アウトロー』のヒロインの年増の敏腕女弁護士(ロザムンド・パイク)がジャック・リーチャー(トム・クルーズ)とのやり取りで、徐々にウブな女学生のように顔が上気していくのが見てとれることです。
 画面には互いのフェロモンが絡みあっているのが見えるようです。
 やっとここで、トム・クルーズの仕掛けと特性にぼくは気がつきます。
 
 彼はまず女優との距離が、異常に接近した所に立ちます。常識より一歩も二歩も踏み込むのです。そして視線を1ミリもずらすことなく真っ直ぐ見つめ、一定の速度で少々の笑みを見せつつ語りかけます。
 おそらくここで、女は男が放つ危険な臭いに気がつきます。すると餌にかかった獲物のように、いかなる女も徐々におとなしくなり、催眠術にかけられたように心と身体が開いていきます。
 
 これはトム・クルーズのキャリアと特性が発揮された場面で、会話がなくとも役者同士の呼吸から十分なリアリティーが伝わります。
 しかし何度も観ているうち、この仕掛けはイイ女だけにしていることではなく、いかなる時と場合でも変わらぬ彼の基本動作(間合い)であることが分かってきます。
 これは大物相手でもチンピラ相手でも、また男女に関係なく、いわば武芸者の理想とする目付けで、相手の呼吸を掌中にし、戦いの備えにする不敗の構えといえます。

 ところが2作目の『ジャック・リーチャー』(2016年)ではこの構えが乱れます。踏み込みが一歩足りません。その結果、彼らしくないミスを連発します。
 どうやら自分の娘かもしれない不良少女が現れ、無敗の武人に心の乱れがわずかに生じたようです。
 たったそれだけのことですが、画面から彼のハードボイルド指数が下がり、フェロモンの分泌も低下しているのが見て取れます。
 しかしながらこの映画が失敗作かと言えば、そうではなく、活劇の醍醐味はぐっと下がりますが、不調な時でも、なんとか勝ちにもっていくエースの姿が垣間見え、捨てがたい一本です。
 勿論共演女優も魅力的で、作品の欠点を彼女が救っているとぼくは思います。

by arihideharu | 2017-07-25 14:14 | 映画・演劇 | Comments(0)
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