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わくわく挿絵帖
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八丁堀の旦那
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 岡本綺堂の「風俗 江戸東京物語」を読んでいて二つほど発見がありました。いずれも、八丁堀の旦那(同心)をめぐる話です。

 江戸町奉行所の廻り方同心が市中を巡回する様子は、裾(すそ)を短めにした黄八丈の着流しに黒紋付の巻き羽織、刀は閂(かんぬき)差しに…。というのが一般的イメージです。この風俗を岡本綺堂は芝居では確かにそうなっているが実際は「大抵の同心は縮緬の着物を引摺るるように丈長にぞろりと着て、大小は落とし差しにしていたものです」と書いています。そうすると藤田まこと演じる中村主水のいで立ちは、差し詰め昔気質の野暮天の旦那というところになります。

 あと一つは、廻り方同心が従える中間についてです。三田村鳶魚は木刀一本だけ差した中間は奉行所のもので、御用箱を背負ったものは同心の供と書いています。この御用箱を背負ったものを綺堂先生は八丁堀の折助と呼んでいます。折助とは中間の一般的呼び名だそうで、いかにも江戸っ子が言いそうな歯切れの良い響きです。この折助、いざというときは捕り物にも加わったようです。三田村鳶魚はこういう小者が廻り方同心の家には常に二三人はうろうろして下男働きをしながら捕り縄などの稽古をしていたと言っています。この連中いずれは岡っ引きの大親分にでもなるつもりだったのでしょう。

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by arihideharu | 2010-11-30 02:34 | 挿絵 | Comments(0)
漫画離れ
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 ぼくが高校に入った頃には貸本屋は少年文化の中心から外れ、舞台は雑誌に移っていました。そして漫画はスポ根ものが流行り、劇画と呼ばれるようになります。漫画は少年文化から既に青年文化になっていました。
 
 ところがその頃から、ぼくは少しづつ漫画から距離を置くようになりました。何故なら、劇画と呼ばれる漫画の一群は、少数の漫画家を除きぼくには魅力的ではなかったからです。ストーリーはともかく絵がついていけませんでした。手塚治虫や白土三平で絵もストーリーも頂点に達したものが、ぼくには後退して行くように感じたのです。

 ぼくは漫画を読むより小説を読むことが多くなっていきました。

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by arihideharu | 2010-11-22 05:33 | 挿絵 | Comments(0)
少年文化
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 歴史時代小説の読み始めが「梟の城」だったことは前に書きました。その次に読んだのが「龍馬がゆく」でした。これもアパートの向かいの部屋に住んでいた四つ年上の男に借りたものです。勿論、強烈に面白く一気に読んだことを覚えています。

 すると不思議なもので、面白いと言われる時代小説の話題が耳に入ってくるようになります。「あれは最高だ」「とにかく読め。読まないとモグリだ」というような話がどこからともとなく聞こえてきます。「あれは最高だ」と言われていたものとは五味康祐の「柳生武芸帳」でした。

 当時、半ば伝説化していたこの小説との出会いが挿絵画家になったきっかけかもしれません。というのは、これ以後しばらく時代小説の中でもチャンバラ小説を選んで読むようになったぼくは「これは、どこかで読んだことがある」というストーリーが、頻繁に出て来ることに気がつくのです。その「どこか」とは子供の頃読んだ「漫画」です。そうです。子供の頃読んだ漫画のネタ元に辿り着いていたのです。

 ぼくが小学校当時の漫画の中心は新興の「少年サンデー」や「少年マガジン」以外に貸本屋があり、床から天井まで積み上げられた漫画本が子供たちの心をつかんでいました。

 その漫画本の山は、ぼくの中では二つに分かれていました。手塚治虫と白土三平です。言うまでもなく手塚治虫は現代・SFもので、白土三平は時代ものです。

 ぼくは強く白土三平に惹かれました。最初に心をつかんだのは「サスケ」でした。主人公が少年であり、その成長物語であったことが何より惹きつけられた理由です。少年時代、忍者になることが夢だったぼくは「サスケ」はいわばぼくの分身でした。 

 また、白土三平以外にもチャンバラ漫画は沢山あって、そのどれもが上手な描き手でした。40年以上前、「少年文化」の中心には「チャンバラ」が確実にあったのです。

 つまり、「柳生武芸帳」によってぼくの中にあった「チャンバラ小僧魂」が呼び覚まされたのです。

 しかしその頃、予備校仲間との話題はセザンヌや青木繁、ジャスパー・ジョーンズについてがほとんどでした。


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by arihideharu | 2010-11-12 00:37 | 読書 | Comments(0)