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わくわく挿絵帖
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句集『其角俳句の江戸の春』
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 去年の夏から昼食のたびに、句集『其角俳句の江戸の春』(半藤一利・著)を開いています。一日一句を読むことを目指しながら、読解力の低さから遅々として進まず、それでもなんとか三分の二を過ぎるところまできました。

 ぼくは今までこの手の本は読んだことがありませんでした。というのも、人間には二種類あると思っていて……、それは詩歌を読んで楽しめる人とそうでない人です。ぼくは後者の典型で、十代から何度か詩集や歌集に挑戦してきましたが、ぼくの頭は結局分かりやすい散文にしか反応しないと悟り、読むのを諦めてきたのです。

 ところがさすがに俳句は庶民の文学で、読めばそれなりにイメージがつかめるように出来ています。その上、其角俳句の魅力もさることながら、半藤さんの解説が秀逸で飽きさせないのが続いている理由だと思っています。句集がこれほど面白いとは知りませんでした。

 そして今は、俳句は絵を描く人間とは相性がイイのかもしれないと思い始めています。というのは俳句は十七文字の中に名詞が必ず複数含まれ、その連想から言葉の理解より先に、簡単な絵がうかぶ仕掛けになっていると気がついたからです。さらに解説を読み、句を理解する段階になると名句のパワーが発揮され、今度は相当いい絵がうかんできて、想像力が刺激されていきます。

 例えば、「ねこの子のくんづほぐれつ胡蝶哉」
これなどは応挙あたりが描いていそうです。画題にしてみたくなる一句です。

 「酒の瀑布冷麦の九天より落るならむ」
これは其角の身体にすむ蚤が、酒の匂う袖口あたりで見た景色でしょうか、ケレン技の得意な国芳か赤塚不二夫の漫画で見たいものです。いや、アニメーションの方が面白いかもしれません。

 「冬来ては案山子のとまる鴉かな」
これなど誰が描いても比較的似た絵柄になりそうですが、絵描きのセンスが試されそうでちょっと怖い感じがします。

 この三つは其角俳句の中で、かなり絵画的かつ分かり易い句の方で、大体は解説を読まなければチンプンカンプンで、句と解説を行ったり来たりしながら読んでいきます。

 いずれにしろ、一つひとつ読んでいく呼吸は、ミュージアムの壁にかかる絵画を一枚一枚観ていく呼吸に似ています。

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by arihideharu | 2012-04-23 22:48 | 読書 | Comments(0)