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わくわく挿絵帖
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少年雑誌の付録
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 少し前、小学館の子供雑誌が廃刊になったというニュースが流れました。そこで懐かしく思い出したことがあります。

 ぼくもご多分に洩れず子供の頃、そういった雑誌のファンでした。多くの子供たちがそうであったように、勿論付録が目当てです。

 その中で、忘れられない付録がひとつあります。それは地球儀です。少年のぼくは雑誌という平べったいものの中に、地球儀という立体的なものが入ってしまうことが、堪らなく不思議に思ったのです。

 付録の封を切ると徐々に謎が解けていきました。

 袋の中には、ママゴトのお椀のような灰色のプラスチックの半球が、2つ重ねてありました。成る程と思いながら、ぼくは早速セメダインでその半球を、ひとつに貼り合わせました。球の出来上がりです。ここまでは納得です。

 次に折られた紙がありました。拡げると世界地図が印刷されてあります。点線に沿って切る、という指示があります。恐る恐る切りました。

 するとスイカを食べ終わったあとの皮のような形に、紙が多数に分かれました。後は球体に付けられた印に合わせて、その薄紙を丁寧にノリで貼っていくだけ…。紙が乾くのを待つのももどかしく台座に付けると、小さく貧弱な地球儀があっけなく出来上がりました。

 これは重大な事件に思えました。つまり、1枚の紙から地球儀という立体が出来るということが…。

 このとき子供の世界から別の世界に、急に連れて行かれたような気分に僕は襲われました。多分、小学校2・3年の頃だったと思います。

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# by arihideharu | 2009-12-20 20:00 | 思い出 | Comments(0)
絵描きになりたいと思ったとき
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 子供の頃、寝ていた部屋に二曲の枕屏風が立て掛けてありました。その屏風には北斎や広重の風景版画が貼られていて、僕は寝る前にその絵を覗き込むのが日課となっていました。

 絵の中には総てが描かれていました。人物、草木、動物あらゆるものが簡素な線と少ない色で表現されています。それは魔法を見ているようでした。

 例えば空から青のグラデーションを下ろしてくれば画面は昼になり、地平線から赤色を上げて行けば、そこは夕暮れになります。そして、その色を変えれば夜にも曇り空にも見えます。また髪の毛ほどから親指までの線の太さを変化させ、そこに濃淡を加えます。すると、あらゆる形や動き、遠近までも表すことが出来ます。

 その技は見る度に驚きでした。子供は魔法使いに憧れます。ぼくは特に北斎が贔屓になりました。魔法が強力に思えたからです。僕は北斎のようになりたいと思いました。

 これが絵描きになりたいと思った、始まりかもしれません。

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# by arihideharu | 2009-12-19 20:00 | 挿絵 | Comments(0)