少し前、小学館の子供雑誌が廃刊になったというニュースが流れました。そこで懐かしく思い出したことがあります。
ぼくもご多分に洩れず子供の頃、そういった雑誌のファンでした。多くの子供たちがそうであったように、勿論付録が目当てです。
その中で、忘れられない付録がひとつあります。それは地球儀です。少年のぼくは雑誌という平べったいものの中に、地球儀という立体的なものが入ってしまうことが、堪らなく不思議に思ったのです。
付録の封を切ると徐々に謎が解けていきました。
袋の中には、ママゴトのお椀のような灰色のプラスチックの半球が、2つ重ねてありました。成る程と思いながら、ぼくは早速セメダインでその半球を、ひとつに貼り合わせました。球の出来上がりです。ここまでは納得です。
次に折られた紙がありました。拡げると世界地図が印刷されてあります。点線に沿って切る、という指示があります。恐る恐る切りました。
するとスイカを食べ終わったあとの皮のような形に、紙が多数に分かれました。後は球体に付けられた印に合わせて、その薄紙を丁寧にノリで貼っていくだけ…。紙が乾くのを待つのももどかしく台座に付けると、小さく貧弱な地球儀があっけなく出来上がりました。
これは重大な事件に思えました。つまり、1枚の紙から地球儀という立体が出来るということが…。
このとき子供の世界から別の世界に、急に連れて行かれたような気分に僕は襲われました。多分、小学校2・3年の頃だったと思います。