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わくわく挿絵帖
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落とし差し
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 ぼくはほんの少しだけ、居合いを習ったことがあります。商売上、刀の握り方ぐらい知っておいた方がイイと思ったのもありますが、子供のときからのチャンバラ好きが一番の理由です。今でも時々自宅で稽古着に着替えて、居合いを抜いています。

 家の中で刀を差していると気がつくことがあります。それはいかに刀が邪魔だということです。漆を塗った鞘が、やたらとモノに当たるのです。気を付けていても、ちょっと振り向いただけで鞘が椅子やテーブルに当たるのは予想外です。

 そうすると、することは一つです。「落とし差し」です。柄を胸元に当てて、刀を持つしかありません。

 江戸の侍が閂差し(かんぬきざし)をする地方出の侍を揶揄するのは、従来ならだらしないと見られた「落とし差し」が江戸のマナーだったからだと鞘をぶつける度に思います。

 ただ、絹ものの上等な帯を締めて、着流しに刀を差すと構造上、自然に「落とし差し」になるということもありますが…。 

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by arihideharu | 2010-04-30 22:05 | 挿絵
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