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わくわく挿絵帖
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法隆寺の乳金具
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 先週は休みをとり、京都奈良へ旅行をして来ました。一昨年の京旅行の折りは同行の妻は病後で体力に不安がありましたが、今回はひところの暑さも峠を越したのも手伝い、最後まで疲れを見せず元気に一緒に楽しむことが出来ました。
 
 京・奈良といえば神社仏閣を見るのが楽しみですが、今回からその門を潜るたびに、クスリと笑える楽しみが加わりました。それは前にブログに書いたことのある「乳金具」の観察です。普通、何気なく通ってしまうと只の黒い円ですが、間近でみるとオッパイの形になっているのが分かるというあの代物です。

 今回訪れた西芳寺・法隆寺・薬師寺は古寺ゆえに門金具も古く、その形状と色に様々な趣がありました。その中で特筆すべきは、法隆寺金堂扉の「乳金具」の絶景です。片側の扉に17個のオッパイが並びそれがが対になっています。さながら昆虫標本のようです。色も形も様々で圧巻です。

 その中で、ぼくの気に入った「乳金具」は上図の右上です。最もシンプルで、乙女の乳房のようです。少し異国の少女あるいは少年のおもかげがある飛鳥仏を納める法隆寺とこの「乳金具」は呼応しているようです。

 法隆寺の素晴らしいのは「乳金具」が朽ちて穴があいたものから、腐食して細部が消えたもの、黒光りして新しいものまで、様式の違いも合わせて同時に見られることです。

 穴があいた所からは乳頭の部分が古代釘の頭だということが、構造的に良く見えます。したがって、釘の形の違いによって「乳金具」の印象が随分違うことになります。

 こうして書くと何だか面倒ですが、ぼくと妻はただキャッキャと門を少し不謹慎に通っただけです。

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by arihideharu | 2010-09-20 17:53 | 旅行
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