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わくわく挿絵帖
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京都旅行
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 ぼくは生まれも育ちも東北ですから、江戸の内までは想像力もおよびますが、箱根の先となるととんと分からなくなり、坂東武者は描けても、お公家はおろか公家侍も情けないことに及び腰になります。
 
 10年ほど前、木曽街道の奈良井宿を作家の東郷隆氏と訪れたおり、もと宿屋だったという町家を覗きました。

 ひと通り家の造り見て廻ると東郷さん「寺田屋と一緒だな」と言います。「あの京都の?」とぼくが問うと、「うん」と答え、この辺は文化的に意外と京都に近いんだと言うのです。

 ぼくは頭の中に京都から信州までの地図を思い浮かべようとしましたが、像が結ばないのに慌てました。その時、歴史とは半分地理だなと思いつつ、子供の頃から地理が最後まで頭に入らなかった自分の不勉強さを思い出しました。

 それ以来、白地図を色鉛筆で塗るようにして、箱根から先に往ってみたいなと思うようになりました。となると先ずは京都からだな…。

 これがここしばらく毎年京都に出かける理由で、又あわよくば公家侍はおおろか禁裏の様子も描けるようになりたいものと密かに願ったのも事実です。

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 先週、その恒例の京都旅行へ妻と出かけてきました。台風15号の進路を逆走するようなスタートで始まりましたから、やはりと言うべきでしょう、京都に着いた初日は大雨で計画はほぼつぶれました。二日目は台風一過といきたいところでしたが朝から小雨。しかしぼくらは思いきって予定通り、朝一番のバスで比叡山延暦寺に向かいました。
 
 幸い山に入るころ雲は流れ、晴れ間が広がっていきます。左手に木々の間から京都市中が掌を指すように見えてきます。それから、やがてバス内に歓声が上がり、右手に琵琶湖がパノラマとなって広がります。ぼくはその時、胸の内で小さくない達成感を覚えていました。この眼下に広がる琵琶湖の先に関東平野を見ていたのです。つまり、10年前結ばなかった像が結ばれた気がしたのです。

 高いところには登って見るものです。旅の要諦は高いところから…。初めて気が付きました。
by arihideharu | 2011-09-28 16:39 | 旅行
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