ブログトップ | ログイン
わくわく挿絵帖
sashieari.exblog.jp
<   2019年 02月 ( 1 )   > この月の画像一覧
深夜のハードボイルド映画
b0185193_22400123.jpg

 例によって深夜ちょこちょこと映画を観ています。
 SFとハードボイルドの再生回数が多いのは相変わらずです。
 近ごろ観た中では、旧作ですがデンゼル・ワシントン主演の『イレイザー』とリーアム・ニーソン主演『トレイン・ミッション』が楽しめました。
 
 デンゼル・ワシントンには『青いドレスの女』というハードボイルド映画の理想的傑作があります。
 この作品はシリーズ化された原作もあり、きっと続編ができると待っていましたが、残念ながら実現されませんでした。
 『ペリカン文書』と『青いドレスの女』以外に印象に残った作品の記憶がぼくにはなかったので、やっと快作に巡り会った感じです。

 ハードボイルドの要諦は普段凡庸でありながら、ここというときに並外れた力を見せ事件を解決することにあります。 
 『青いドレスの女』の主人公はただの黒人の工場労働者ですし、『イレイザー』のそれはホームセンターの初老の店員です。また、『トレイン・ミッション』のリーアム・ニーソンはリストラされたばかりの元サラリーマンです。
 この三作はまさにハードボイルドの要諦をしっかり押さえているといえます。

 すっかりハードボイルドづいたぼくは、引き続き「キー・ラーゴ」を棚の奥からひっぱり出しました。
 さすがに名画といわれる作品です、一気に見せる力があります。
 この映画、ただたんにハンフリー・ボガートとローレン・バコールを格好良く見せるためのドラマと思っていました。ところが実際は、地位も金もない目標を失った退役軍人の話で、しかも舞台は戦死した部下の実家のある辺境の島です。
 その地は神の末裔と誇る先住民たちが、貝殻を売ってひっそり暮らす場所です。
 物語は多数のギャングをボガードが傷つきながらも一人で倒し、ハッピーエンドで終わります。
 そして余韻として、この元軍人は麗しい後家と結婚し、この地で先住民たちと共生しながら余生を送る可能性を匂わせます。
 つまりこの映画は、戦争で勲章をいくつももらった男が白人社会からドロップアウトする話なのです。

 アメリカは才能と野心と運さえあれば、誰でも神の祝福を受け神殿の住人になれます。
 ハードボイルドの主人公たちは才能はともかく、野心と運が欠けた者たちで、だいたいは落伍者と見られます。
 多くのハードボイルド小説は、この落伍者ぶりを克明に描きます。耽美的にあるいはベタに、悲劇的にあるいは喜劇的に・・・。

 ただ彼らの共通するところは、裏社会と表社会のフチに住み、かつ神殿の住人たちのエリアにも入れるパスポートを持っていることです。
 そして、主人公たちは時には馬鹿馬鹿しいほど、命を捨てることと法の外に飛び出すことに躊躇がありません。

by arihideharu | 2019-02-26 22:38 | 映画・演劇 | Comments(0)