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わくわく挿絵帖
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 女優、森光子のいとこの話。

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 女優の森光子さんが昨年、国民栄誉賞を受賞したのにともなって、テレビでインタビューを受ける機会が増えたように思います。それで思い出すことがあります。受賞直後のことです、こういうことが繰り返されていました。

 「女優になったきっかけは?」と問われると、森さんは「従兄に嵐寛寿郎という映画俳優がいまして…。」と答えます。するとそこに一瞬の間が生まれます。「嵐寛さんですネ。」と合いの手を入れるのはまれで、大概は「それで?」という顔で話の先を進めます。

 勿論、ぼくはそこで拍子抜けです。嵐寛寿郎といえば、かつては誰もが知っているチャンバラ映画の大スターです。実はぼくの最も好きな剣劇俳優でもあります。拍子抜けの意味はそこにあります。

 多くの剣劇俳優の中でも嵐寛寿郎ほど立ち姿の美しい役者はいませんでした。正眼に構えたときは勿論、困難な体勢から突きや胴をきめるときでも、背筋がピンと伸び、着物の裾が乱れませんでした。そして、乱れなかったのは着物ばかりではありません、顔がそうです。どんな場面でも破綻の表情を見せませんでした。

 無声映画時代のチャンバラヒーローの多くは無頼漢でした。無頼漢は顔を歪めながら死んでいきます。坂東妻三郎や大河内伝次郎の役柄です。いわゆる悲壮美です。

 嵐寛は鞍馬天狗を演じました。これは革命家でした。右門捕物帖では町方同心、これは刑事です。いずれも正義の人です。

 戦後、老いても多くの映画に登場しました。あるときは南の島で半裸で三線を弾き、またあるときは北の果ての刑務所で素っ裸で博徒のなかに混じって喧嘩をしていました。老残の姿です。しかし、いずれも輪廻転生した鞍馬天狗の勇姿でした。

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# by arihideharu | 2010-01-14 02:10 | 映画・演劇 | Comments(0)
リュックの中身
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 ぼくの場合、一日の中で午後の数時間は、多くは原稿を読むことに費やされます。自宅で読むといつの間にか寝てしまうことが多いので、大概は近くのファミレスへ行って読みます。
 
 そのとき、原稿は小振りのリュックに入れ自転車や徒歩で出かけます。リュックの中には原稿の他には、筆記用具・デジカメ・文庫本数冊がいつも入っています。これがいわば、ぼくの七つ道具になります。
 
 文庫本数冊のうち2冊は何年も変わらず同じ本が入っています。それは三田村鳶魚の捕物の話と岡本綺堂の半七捕物帳です。この2冊は何度も繰り返して読んでいます。なぜなら江戸時代へタイムスリップするトンネルの入り口が口を開けて待っているからです。

 タイムスリップから戻ると、帰りにドラックストアやスーパーに寄りサブリメントや玉ねぎなどを買い、リュックに入れて帰ります。

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# by arihideharu | 2010-01-12 00:01 | 挿絵 | Comments(0)
これはここ数年で、最大の事件
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座業である挿絵画家のぼくは基本的に一年中家の中にいますから、ともすれば年間を通じ電車に乗る機会が数回程度ということになります。ですから家族のものはぼくのことを、引きこもりと呼んでいます。

 そこで健康のためにも欠かせないのが散歩です。長い間続いていますが、ある時期から質がちょっと変わってきました。

 それはiPodで音楽を聴きながらするようになったからです。初めて散歩をしながら聴いたときは驚きました。その日は初秋の空に白い雲が浮かび、散歩日和でした。スイッチを入れると音楽が静かに流れました。天から音が降りてくるような錯覚にとらわれたのです。なんだかいつもの散歩道が映画のワンシーンのように思えました。

 ぼくは長らく音楽を聴く習慣をなくしていましたが、この時からまた始まりました。これはここ数年で、最大の事件かもしれません。

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# by arihideharu | 2010-01-10 23:27 | 挿絵 | Comments(0)
初笑い
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 明けまして、おめでとうございます。本年が良き年になることをお祈り申し上げます。

 歴史小説家の宮本昌孝さんから届いた年賀状には、富士山の絵の下にこう書いてありました。
 
 歴女(レキジョ)ブームがつづいて、拙作にもハマる女性読者が日本中にあふれて、なんて空夢を見つつ….
 
 ぼくには無数の女性に追われて、悲鳴を上げながら倒れ込んでいく宮本さんの姿が、バスター・キートンのような動きで浮かび上がりました。

 これがぼくの初笑いです。
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# by arihideharu | 2010-01-01 22:17 | 暮らし | Comments(0)
深夜ラジオ
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 仕事を始めるとラジオをつけます。明け方まで仕事をすることが多いので、昔の受験生のように深夜放送を聞くことになります。しかし、自分好みの番組というのは、いつの時代も必ずしも多いわけではありません。
 
 いま一番のご贔屓は伊集院光の番組です。思わず惹き込まれてしまいます。民放の深夜ラジオの本道は、フレッシュで刺激的な情報と少しアナーキーな笑いということになるのでしょうか。それでいて品と知性がないと、長くは聞き続けられないように思います。ぼくが関西系のお笑いが肌に合わないのは、このことと関係があるのかも知れません。
 
 民放に面白い番組がない場合は、クオリティが一定なNHKを聞くことになります。NHKの深夜放送では話題は古いが、初めて聞く話やら懐かしい話題やらが沢山あるので、結局は一番聞いているかもしれません。

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# by arihideharu | 2009-12-25 21:44 | 挿絵 | Comments(0)